Hypnotherapy For Your Heart, Body, & Soul

退行療法の実例

Dさんのケース (記憶力・集中力・仕事の悩み)

アメリカ人男性Dさんは、新しい営業の仕事で、高度に技術的なことを覚え、顧客にプレゼンテーションしなければなりません。どんなにがんばっても思うように記憶できない、説明するときに緊張してしまうので、自分の力が100%出せないという悩みで来られました。

まずカウンセリングで、現在の仕事の状況、ストレス、プレゼンの際どのような気持ちになるのか、そのときには体はどのような状態になるかなどをお聞きしました。自分としてはうまくプレゼンできると思うが、批判的な上司が言葉の一つ一つまで指摘するので自信を無くしていること、批判を恐れるために上司の同席する場では緊張してドキドキし、集中力が欠けてしまうということです。Dさんは責任感が強く、仕事を完璧にこなしたいので、ストレスも大きいようです。

充分にカウンセリングを行い、その後ヒプノセラピーを行いました。Dさんにとって一番楽しく、自由で自信に満ちているときは、小型飛行機を操縦して、海の上を飛んでいるときです。その場面をイメージしていただき、 その自由で楽しい気持ちを維持しながら、イメージの世界の中で テレビを見ていただきます。テレビの中に、Dさんが少しだけ緊張している過去の場面が出てきます(退行療法)。

最初の場面は、上司がDさんのささいなミスをおおげさに批判しているシーンです。上司はDさんが会社のサービスについて完全に記憶していないことを叱責します。そのときのDさんは、心臓がしめつけられるようで、「何でうまく覚えられないのだろう?」と自責の念にかられます。

その気持ちをもっと強めていただくと、更に遠い過去のシーンが出てきます(アフェクト・ブリッジ法)。いきなり全身の皮膚がかゆくなってきます。頭が真っ白になり、冷えて、灰色になります。Dさんは、小学校1年生のクラスにいます。Dさんのとなりには、L君がすわっており、L君がDさんに向かって助けて欲しいと言っているのを感じます。L君の胸には無数の穴が開いている(Dさんの目にはそう見える)のに、Dさんは何もしてあげることができない。Dさんは泣き始め、自分の無力さを訴えます。Dさんの心は、L君の悲しみと無力感に打ちのめされ、そのためにテストに集中できず、不合格になったDさんは、下のレベルのクラスに編入させられます。それによって大きな羞恥心と敗北感を感じ、自信をすっかり無くしてしまいました。

ここで潜在意識に、テストに集中できないことと、L君の悲しみとの関連について説明を求めると、テストの直前に、L君のお父さんが、Dさんや他の友達の目前でL君を殴りつけ、L君が泣き叫ぶのを目撃したシーンが浮かんできました。Dさんは子供心に何もしてやれない自分の非力を悲しみ、L君を助けられないので、L君がそばにいると勉強やテストに集中できなくなったのです。

このことについて潜在意識にアドバイスを求めると、「Dさんの記憶力や集中力には何の問題も無い。記憶や集中を妨げているのは、ハートである。ハートがDさんの脳と協力することが必要である。記憶したり、集中しなくてはならないときには、ハートの周りを黒い大理石でできた強固な壁で囲み、 ネガティブな他人の感情がハートに入りこまないようにすることが必要だ」と述べました。

ここで時間をとり、Dさんにハートをガードするイメージを練習していただきました。しっかりガードしたハートで、顧客と上司の前で、自信をもってプレゼンをしているところをイメージしていただきました。「これからは必要なときにいつもこのガードをかける。すらすらと記憶する。落ち着いて集中する」などの記憶力、集中力を高める暗示、どうどうと自信をもってプレゼンするイメージを含めた暗示をテープに録音し、これから繰り返し聴いていただくことにしました。

翌々日Dさんから電話が入り、大きな契約をつかんだこと、上司にも成果をほめられたことなどを明るい声で報告していただきました。

2000年・著作権・臨床ヒプノセラピスト・やのうせつこ | メール  | ホーム