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うどんのお話



    シカゴのダウンタウンにある私の会社が入っているビルには、2階にカフェテリアがあります。 雨の日などは外に出る気がしないので良く利用するのですが、何とそこには日本食のコーナーがあるのです。
    別に日本人のシェフが居るわけではなくて、メニューも麺類と丼物が主流です。また、丼とい っても親子丼やカツ丼があるわけではなく、ご飯の上に「照焼きチキン」等が適当に乗っかっ ているだけです。カレーもあるのですが、何しろご飯の炊きかたがイマイチなので私は余り食 べません。麺類にはうどんと蕎麦がありますが、両方とも最初からお湯に漬かっていて、それ をすくってボウルに入れてくれるものですから、麺が細い蕎麦は既にふにゃふにゃになってい ます。なんとか食べられるのはうどんでしょうか。太い分だけまだ腰が残っています。でもや っぱり、ここでもまたきつねうどんや天ぷらうどん等のおなじみメニューは無いのです。 照り焼きチキンとかカレーとか丼にかけるのと同じ物を麺に乗っけて、適当にだし汁を足して出され ることになります。何と「Sweet and sour chicken noodle」というのもあります。"Sweet and sour pork" が「酢豚」だということはご存知の方も多いでしょう。ではこれはいったい何な のでしょう。というわけで通常私はカレーうどんしか食べません。
    鼻の下にひげをはやしたメキシコ系の店員さんに
    「カレーヌードル、プリーズ。」と言うと
    「Rice noodle or wheat noodle? White one or black one?」と聞かれます。「あれ、うどんって お米でできているんだっけ。」などと思いながら
    「White one (うどん)」と答えます。(ちなみにうどん粉は小麦からできているはず。)
    すると次に
    「How about topping, sir?」と聞かれるのです。見ると野菜類が並んでいて、それを乗っけて くれるようになっています。あれこれ英語で言うのは大変なのですが、
    「Everything, please.」などと言おうものなら、(日本人としては)大変なことになります。 ゆでたほうれん草やねぎ、ゴマが入るのはまだ良いとしても、にんじん、ブロッコリー、生の もやし、レタス、トマト、更にはふくじん漬けがうどんの上に山盛り乗っかってくると、 「私はこれから何を食べるんだろう」と自問自答するはめになります。だいたい、生の もやしってどう考えてもおいしいとは思えません。これを普通のアメリカ人が、日本食は きっと健康に良いんだろうと思いながら我慢して食べているのかも知れないと思うと、 がっかりしてしまいます。とは言いながら、ケチな私はいつも、せっかく同じお金を払うん ならと、「Everything except sprout(もやし) and lettuce(レタス).」と 言ってしまいます。うどんとサラダをいっしょに頼んだつもりになって、うどんに乗っかった トマトやブロッコリーを先に食べてから、ゆっくりうどんを食べるのです。ああ、情けない。

    先日、いつものカレーうどんを買っていると、次の人が信じられないものを注文していました。 「White one or black one?」という質問に、なんと彼はこう答えたのです。
    「Half and half ! (うどんとそばを半分ずつ!)」
    日本人には絶対できない発想だなあ、こうやって文化っていうのは、変遷していくのだろうかと、 私はしばらく感心していたのです。

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