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日本食の食べかた


    日本にいらっしゃる外国人の皆さんの嫌いなことの一つに「ガイジン」と呼ばれることがあります。 この言葉には「すみませんが、あなたは日本人ではないので仲間には入れません。」といった 響きがあります。日本のことを好きになればなるほど、この言葉が気に触る のではないでしょうか。
    同様に彼らが嫌がることのもう一つに「上手にお箸が使えますね。」と言われることがあります。 これを言われるたびに、「あなたも上手にフォークが使えますね。」と言い返すことにしている、 と言う人を何人も知っています。西洋人はお箸が使えないという思い込みに対して、 別にアジア人にしかおはしは使えないって訳じゃないんですよということではないでしょうか。 いうことでしょう。また、何度も何度も同じ事を言われて、いいかげんヘキエキしているのかも知れません。
    僕が子どもの頃は、フォークとナイフを使って食事をすることは、とっても特別なことでした。 いつもワクワクしていたのを覚えています。 その後日本の文化がどんどん西洋化していくに従って、フォークやナイフを使って食事をすることは 特別でなくなってきました。では、逆のケースはどうでしょう。少なくとも僕は西欧人がお箸を使って 食事をするところなんて見たことはありませんでしたから、東京に転勤になって、会社の食堂で ニューヨークから来ていたトム君がお箸を使って食事をしているのを見た時は、とっても驚きました。 トム君によれば、大学生の頃日本食がはやって、お箸を使うことがかっこいいことだったとかで、 周りはみんなお箸を使うようになったとか。それを聞いて、あっそうかと思ったのです。 お箸を使えるのは別に僕たちだけって訳じゃ無いんだ。

    実際、アメリカに来てみて気が付いたのは、随分たくさんの人がお箸を使ってアジア系の食事を 食べているなあということです。こういう人たちは、異文化を受け入れる姿勢を持った人たち です。お互いを理解しあう為には、この姿勢はとっても大事なことではないでしょうか。 敬意を払わずにはいられません。
    しかし、一方で気になることもあります。一つは、お茶碗を持ち上げずにご飯を食べている人が 多いということです。少なくとも日本食に関する限り、これはマナーに反します。(これは中華 料理でも同様です。しかし韓国では反対だと聞いたことがあります。)
    もう一つは「あれ、焼き飯を食べるのにはお箸は使わないよなあ。スプーンだよなあ。」と いうことです。定かではないですが、香港でも、お皿から焼き飯を食べる時はスプーンを 使っていたような気がします。日本では、ご飯をお皿に盛ることは、洋食を意味します。 和式ではないのです。ですから、お皿に盛った焼き飯はスプーンを使って食べます。 そもそも焼き飯はパラパラしていますから、この方が理屈に合っています。お皿に盛られた 焼き飯をお箸で食べようとすれば、すくったご飯のうちの60%は、引力によってお皿に 引き戻されてしまうので、これは不可能に挑戦しているようなものです。 観ていても、ぎこちなくて見苦しく感じます。さもなければ、お茶碗を使って食べるべきです。 そうすれば、お茶碗は手に持つので、口までの距離が短くなって食べやすくなります。

    日本人のユカリさんは、お昼ご飯によくアメリカ人スタッフといっしょにアジア系のレストランに 行くそうです。こういったレストランではご飯がお皿に盛られてくることが多いのですが (そもそもこの時点でもう和食ではない!)、彼女としてはフォークで食べたいと思うのに、 自動的に、彼女にはお箸が、アメリカ人にはフォークが出されることが少なくないそうです。 そんな時は、お互いにお箸とフォークを交換するとか。彼女がそのアメリカ人に、
    「フォークの方が食べやすいのに、どうしてわざわざお箸を使うの?」と聞くと、むきになって
    「いいからほっといてくれ」と言われるとか。

    日本食に関する限り、お皿に盛ってあるご飯をお箸で食べている人たちや、お茶碗を手に持たずにご飯を食べている人 たちは、日本の文化を表面的にしか理解していないように思うのです。でもやっぱり僕は そんな人たちにも敬意を払います。

    啓一郎



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